映画  CHERCHEZ L'IDOLE 『アイドルを探せ』
14/03/201812:37 Yusuke Kenmotsu
フレンチポップス歌合戦
 
1963年のミシェル・ボワロン監督作品。1950年代から70年代にかけて主にコメディ作品で活躍したボワロン監督の代表作といえば、『この神聖なお転婆娘(1956)』や『気分を出してもう一度(1960)』といったブリジット・バルドーとの一連のお色気コメディが思い浮かぶだろう。
本作は従来の恋愛コメディのテイストを残しつつ、主人公が泥棒する犯罪映画であり、実際の大物歌手が数多く本人役で登場する音楽映画でもあるという賑やかな作品となっている。

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オープニングは軽快な音楽にのせて自転車に乗った郵便配達人がエッフェル塔や凱旋門などの脇を抜けて走っていくシーンで始まる。ヌーヴェルヴァーグ的な移動撮影に出演者たちのクレジットが被さるのだが、この配達人の行き先はミレーヌ・ドモンジョ邸である。配達人はドモンジョ(本人)に電報を届けに来たのだ。しかし本作の主人公は配達人でもなければドモンジョでもなく、ドモンジョ邸で働くタイル職人リシャール(フランク・フェルナンデル)が主人公である。
リシャールは恋人ジョゼット(ダニー・サヴァル)へのプレゼントのためにドモンジョ邸にある5000万フラン相当のダイヤモンドを盗むことを計画する。一人では不安なリシャールはジョゼットに来てほしそうにするが、「一人で行きなさいよ、目立つじゃないの」と断れられ、決行当日、不安から煙草を吸おうとすると、「やめなさいよ、目立つじゃないの」と口にガムを押し込まれる。

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ドモンジョ邸でなんとかダイヤモンドを盗んだものの、近所の人に見つかり大騒ぎになり、警察にも追われてしまう。逃走の果てに忍び込んだのが楽器店で、口の中に入っていたガムを使ってギターにダイヤモンドを張りつけてその場を退散する。
ジョゼットはダイヤモンドがくっついているギターを買いに楽器店に行くが、同じモデルが5つもあり、そのすべてが売れてしまったと聞いて大慌て。リシャールを見限り女友達と2人でダイヤ探しを始める。一方リシャールは、ドモンジョ邸で女中をしていたジゼール(ベルデ・グランヴァル)に諭され改心する。ドモンジョが帰ってくるまでに屋敷にダイヤモンドを戻さなければ、本格的に犯罪者になってしまうということでこちらもダイヤモンド付きのギターを2人で探し始める。こうして1つのダイヤモンドを巡る2組による争奪戦が始まるのだ。
 
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この映画の面白いのは5本のギターを買っていったという5人の面々だろう。シルヴィ・ヴァルタン、フランク・アラモ、ナンシー・ホロウェイ、ジョニー・アリデイ、シャルル・アズナブールというスターたちが一晩のうちに買いに来たという。物語の展開上、それぞれが持つギターを確認に行くのだから幸福なご都合主義と呼べるだろう。
初々しい魅力のシルヴィ・ヴァルタンからスーツの着こなしがかっこいいジョニー・アリデイ、大トリのシャルル・アズナブールまでそれぞれが素敵な歌声を披露してくれる。
主人公たちの恋やダイヤモンドの行方もさることながら、次はだれの歌が聴けるのかという興味が尽きない作品である。特に60年代のフレンチポップスファンには感涙ものの映画となるだろう。

CHERCHEZ L'IDOLE 『アイドルを探せ』の放送時間は
こちら
1982年生まれ。京都市在住。 古今東西の映画や国内外の映画祭を愛す。 フランス映画に惹かれたきっかけは、印象派絵画の巨匠オーギュスト・ルノワール の次男坊という興味で観始めたジャン・ルノワール監督作品との出合いから。 人生の悲喜交々を、自然や天候と戯れるような大らかさや女優たちへの少しばかり 淫らな視線、画面の構図、色彩感覚といった父親譲りの才能で描き出された彼の 作品群で映画の歓びを知る。 フランス映画以外ではアメリカのフィルム・ノワールや西部劇が特に好み。 映画検定一級取得。

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