映画  LE GORILLE VOUS SALUE BIEN『情報(ネタ)は俺が貰った』
03/10/201811:28 Yusuke Kenmotsu
車を持ち上げ、壁をよじ登る
 

1959年のベルナール・ボルドリー監督作品。彼の父レイモンはマルセル・カルネ監督『天井桟敷の人々(1945)』やジャン=ピエール・メルヴィル監督『サムライ(1967)』など映画史に残る名作を数多く手掛けた大物プロデューサーであった。ベルナール・ボルドリーは1942年に助監督として映画業界に入ると、ジャン・ドレヴィルやアンリ・ドコワンといった監督の元で修業を積み、1951年に監督デビューを果たす。『毒の影(1953)』や『左利きのレミー(1961)』などエディ・コンスタンティーヌ主演のいわゆる「レミー・コーションシリーズ」で名を馳せることとなる。

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主演はリノ・ヴァンチュラ。運動神経抜群で体格に恵まれていた彼は、役者になる前はレスリングをしており、1950年にはヨーロッパチャンピオンになるほどの実力者であった。映画に初めて出演したのは1954年のジャック・ベッケル監督『現金に手を出すな』であった。タフな悪役ぶりが印象的で、その後もしばらく悪役や端役を経験し本作『情報(ネタ)は俺が貰った』で初めて主役に抜擢される。
 
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物語は刑務所から始まる。看守が見回りをしていると窓にはめられた鉄格子がグニャッと曲がったところがある。看守たちは囚人パケ(リノ・ヴァンチュラ)が脱獄したと大騒ぎだ。パケは外で仲間と落ち合う際、警察は上を見ないという理由で高い木にぶら下がって待っている。道に邪魔な車が停まっているとその怪力で脇に運ぶ彼は、闇ドル売買の一味を装った秘密警察員で、その怪力から通称ゴリラと呼ばれスパイとして暗躍しているのだった。
彼は元中佐のバルトロミュー(シャルル・ヴァネル)の命を受け国家機密の盗難を調査していた。

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本作は肉体派アクションの先駆けのような作品で壁をよじ登って悪の巣窟に侵入したり、銃を持つ相手に素手で立ち向かったりとリノ・ヴァンチュラのタフネスぶりが最高に楽しめる一作だ。いくらなんでも無理があるとか、つじつまが合わないといった野暮なことは言わず、彼の肉体の躍動をじっくり味わう映画である。
1982年生まれ。京都市在住。 古今東西の映画や国内外の映画祭を愛す。 フランス映画に惹かれたきっかけは、印象派絵画の巨匠オーギュスト・ルノワール の次男坊という興味で観始めたジャン・ルノワール監督作品との出合いから。 人生の悲喜交々を、自然や天候と戯れるような大らかさや女優たちへの少しばかり 淫らな視線、画面の構図、色彩感覚といった父親譲りの才能で描き出された彼の 作品群で映画の歓びを知る。 フランス映画以外ではアメリカのフィルム・ノワールや西部劇が特に好み。 映画検定一級取得。

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