フランスライフスタイル  ギャルリ・ヴィヴィエンヌ|Galerie Vivienne
12/01/201512:13 三上功
Screen-Shot-2014-11-11-at-11-26-13-am-(1).png

パリで最も美しいパサージュ
 
ルーヴル美術館の北にある閑静なパレ・ロワイヤルを抜けると、プティ・シャン通りに出ます。そのすぐそばに美しいファサードに飾られたアーチ型の入り口があります。ここはギャルリ・ヴィヴィエンヌ。パリに残るパサージュ(19世紀のアーケード商店街)の一つです。全長176メートルのパサージュで、美しいモザイクが施されたポンペイ様式と新古典主義様式の内装が見事です。現存するパサージュの中では3番目に古く、1825年にオープンしています。日本でいえば、江戸時代から続く商店街ということになりますからその古さを実感することができます。当時は仕立屋、ワイン商、靴屋、書店、菓子屋、版画店などがパサージュ内に入り、多くの買い物客でにぎわいました。現在は豪華なブティックや1862年創業の古書店が静かに営業しており、散策好きのパリジャン・パリジェンヌを引きつけています。
 
Screen-Shot-2014-11-11-at-11-26-39-am.png

ギャルリ・ヴィヴィエンヌの歴史
 
ギャルリ・ヴィヴィエンヌができた時代は、フランス革命が終わった王政復古の時代でした。当時のパリの盛り場はまだパレ・ロワイヤルでしたが、徐々に廃れていき、グランブールヴァールに人気が集まってくる頃でした。ちょうど2つの盛り場の間にあったヴィヴィエンヌ通りは多くの人で賑わっていましたが、道が狭く落ち着いて買い物を楽しむ場所ではありませんでした。そんな状況に目をつけた公証人組合の理事長マルショーは、ヴィヴィエンヌ通りとプチ・シャン通りの間にパサージュ(屋根つきの抜け道)を作ることを思いつきます。ここにパサージュを作れば、パレ・ロワイヤルで買い物をした人が、パサージュを抜けてグランブールヴァールへ行く流れができると考えたのです。建築家フランソワ・ジャン・ドゥラノワ設計のギャルリ・ヴィヴィエンヌはこうして生まれました。
 
Screen-Shot-2014-11-11-at-11-28-00-am.png

人気の秘密は通路の複雑さ
 
1825年にオープンしたギャルリ・ヴィヴィエンヌは、多くの人でにぎわい成功を収めました。パレ・ロワイヤルとグランブールヴァールという2大盛り場の中間という立地の良さが決め手でしたが、パサージュの構造自体にも人気の秘密がありました。
ギャルリ・ヴィヴィエンヌの入り口に当たるプティ・シャン通りとヴィヴィエンヌ通りは交差しているため、必然的にパサージュもL字型に折れ曲がる造りになっています。他にも地面の高低差を利用して階段を設けたり、パサージュの中ほどにはロトンドと呼ばれる円形空間を作りました。そんな複雑な造りがパリの散策者(フラヌリ)に好評で、まっすぐなパサージュよりも人気が出るきっかけとなりました。当時、パリを目的もなく散策するということが趣味として定着しており、パサージュはそんなパリジャンの趣味に最適の空間を提供していました。また翌年の1826年には隣にギャルリ・コルベールが完成し、パリ市民の多くがこの周辺の散策を楽しみました。
 
Screen-Shot-2014-11-11-at-11-29-44-am.png

人気が出るも第二帝政後に衰退
 
好立地と複雑な構造で人気を得たギャルリ・ヴィヴィエンヌでしたが、その成功は第二帝政開始まででした。その後、人気の名店がマドレーヌ寺院周辺やシャンゼリゼ大通り周辺に移ってしまい、またオスマン男爵によるパリ改造が行われると、ギャルリ・ヴィヴィエンヌの魅力は徐々に失われていきました。そしてそれ以降約100年間、人気が戻ることはありませんでした。
 
Screen-Shot-2015-01-12-at-10-53-36-am.png

ギャルリ・ヴィヴィエンヌの内装
 
プティ・シャン通りのファサード(正面)を飾るのはエルマンス・マルショーによるカリアティード(女神の形をした柱像)。エルマンスはこのパサージュのオーナーの娘です。床のモザイクタイルはG・ファッチーナによるもの。入ってすぐの長方形の空間は二段構造のガラス天井で覆われ、明るく広々としています(ここは元々中庭があった場所でした)。1961年に復元された丸天井が美しいロトンド(円形空間)は散策者に一息を入れる効果をもたらし、壁面には女神やニンフの装飾が施されています。その先に続く長さ42メートルの歩廊は帝政様式のアーチ型ファサードで飾られています。
 
20世紀後半になって、さびれ続けていたパサージュに活気が戻ってきました。パサージュ内には各種ブティック(KENZO、ジャン=ポール・ゴルチエ、鳥居ユキなど)が入り、オートクチュールのショーも開かれています。1974年にはパリの歴史的建造物に指定されています。19世紀にパリ市民の目を楽しませたパサージュ。パリへ行かれた際には是非、ギャルリ・ヴィヴィエンヌを訪れてみてください。


Screen-Shot-2014-11-11-at-11-27-20-am.png

ギャルリ・ヴィヴィエンヌ(Galerie Vivienne
パリ1区にあるパサージュ(アーケード商店街)
オープン:1825年
住所:rue des Petits Champs4番地とrue Vivienne6番地の間(rue de la Banque5,7番地にも入口あり)
最寄りメトロ:ブルス駅(Bourse)、ピラミッド(Pyramides)、パレ・ロワイヤル・ミュゼ・ドゥ・ルーヴル(Palais Royal-Musee du Louvre)
東京出身。慶應義塾大学文学部卒。 大学時代に写真撮影を始める。2007年、パリに一年間滞在して写真を制作。 以後毎年パリへ出かけ、変化し続けるパリと変化しないパリを撮り続けている。 他にパリを舞台にした小説を書いている。

おすすめ

 

おすすめ

 

おすすめ