フランスライフスタイル  ル・トラン・ブルー|Le Train Bleu
04/02/201510:20 三上功
ベル・エポック時代の名残を残す駅内レストラン

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パリ・リヨン駅の構内には「ル・トラン・ブルー」というレストランがあります。「青列車」という意味のこのレストランが有名なのはその豪華な内装のため。店内にはベル・エポック時代に描かれた壁画が残り、まるで宮殿か美術館のようです。当時リヨン駅からの列車は国鉄ではなくPLM鉄道(パリ・リヨン・地中海鉄道"Paris-Lyon-Mediterranee")によって運営され、鉄道は北フランスからパリを経由して地中海方面に向かって伸びていました。19世紀末のベル・エポックのパリは空前の地中海ブーム。パリに住むブルジョワたちは競うように南仏へと旅行しました。
 
その起点となったのが駅の中にあるこのレストラン。地中海への憧れを掻きたてる壁画を見ながらレストランで食事をする上流階級の客たちは、その憧れをイメージ化しながら列車に乗り込んだわけです。ブルジョワジーの憧れを喚起させたル・トラン・ブルーは、1972年には文化大臣アンドレ・マルローによって歴史的建造物に指定されています。今でも夜は高級レストランとして営業していますが、昼はランチ・カフェとしても開いているので、気軽に立ち寄ってみるのもいいかもしれません。駅構内ですので、カジュアルな服装でも大丈夫です。客層はビジネスマンや旅立つ前の旅行客が多いようです。
 
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造られたきっかけは1900年のパリ万博
 
ル・トラン・ブルーができたのは1900年。19世紀最後の年に開催されたパリ万博の際に、PLM鉄道(パリ・リヨン・地中海鉄道"Paris-Lyon-Mediterranee")によって造られました。他に1900年のパリ万博で造られたパリの名所にはグラン・パレやアレクサンドル3世橋があります。当時のフランス大統領エミール・ルベ(Emile Loubet)によって落成式(1901)が行われたということからも、このレストランの壮大さが分かります。ル・トランブルーは万博のパビリオンの一つとして利用され、まさに19世紀の集大成といった豪華な内装が魅力。パリ19世紀という時代を感じさせてくれます。盛大だった万博の名残を感じさせる歴史的なレストランで、伝統的フランス料理を味わってみてはいかがでしょうか。
 
なぜ青列車?レストランの名前の由来
 
当初は「リヨン駅のブッフェ」(Le Buffet de la Gare de Lyon)という名前でしたが、カレー・ヴェンティミリア間を走るカレー・地中海急行「青列車」を讃えて、1963年に「ル・トラン・ブルー」に改称しました。この青列車はパリ北部のカレーの街から地中海にあるフランス・イタリアの国境の街ヴェンティミリアまでを走っていた夜行列車(1886-2007)で、新型車両が導入された1922年から青列車(ル・トラン・ブルー)と呼ばれるようになりました。寝台車が青かったため、この名称がつけられたそうです。かつての国際寝台列車ル・トラン・ブルーに想いを馳せながら食事をするのもいいですね。
 
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映画や小説の舞台にもなったル・トラン・ブルー
 
ル・トラン・ブルーは映画の舞台にもなりました。有名な作品ではリュック・ベッソン監督によるフランス映画『ニキータ』(1990)に登場します。主人公のニキータが誕生日に連れて行かれたレストランとして使われています。イギリスの人気コメディの映画版『Mr.ビーン カンヌで大迷惑?!』にもこのレストランが登場しています。ちなみに、名前の由来になった寝台列車ル・トラン・ブルーは、イギリス作家アガサ・クリスティーの推理小説「青列車の秘密」(The Mistery of the Blue Train, 1928)の舞台になっています。
 
多くの著名人に愛されたレストラン
 
大統領によって1901年に落成式が行われて以来、ル・トラン・ブルーは多くの作家や芸術家に愛されてきました。その顧客の中にはココ・シャネル、ブリジット・バルドー、ジャン・コクトー、サルバドール・ダリ、ジャン・ギャバンなどがいました。今でもル・トラン・ブルーは、世界中の人々に愛され続けるレストランとして営業を続けています。

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ル・トラン・ブルー
リヨン駅構内にある老舗レストラン
創業:1900年
住所:Place Louis Armand, Gare de Lyon, 75012 Paris
最寄りメトロ:ガル・ドゥ・リヨン

東京出身。慶應義塾大学文学部卒。 大学時代に写真撮影を始める。2007年、パリに一年間滞在して写真を制作。 以後毎年パリへ出かけ、変化し続けるパリと変化しないパリを撮り続けている。 他にパリを舞台にした小説を書いている。

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